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中勘介 「銀の匙」 初版本・大正15年・岩波書店・函付き

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著者プロフィール
明治末期から大正初頭にかけて執筆した小説『銀の匙』が、一高、東京帝大時代の恩師である夏目漱石の推挙を受けて「東京朝日新聞」に連載されたことで文壇に認められる。漱石門下のひとりに位置づけられる一方で、文壇の潮流とは一線を画した文学活動を維持したことから「孤高の作家」と評される。

大正元年、小宮豊隆の勧めで「夢の日記」を雑誌『新小説』に発表し、作家としての一歩を踏み出した。その後、「銀の匙」の前篇部分を書き上げた勘助は、学生時代の恩師である漱石にその原稿を送付した。「銀の匙」は漱石から高く評価され、漱石の推薦もあり大正2年4月から同年6月にかけて「東京朝日新聞」に連載される。
大正3年6月末には、「つむじまがり」(銀の匙後編)を執筆し、同じく漱石の推薦で翌大正4年4月から同年6月にかけて「東京朝日新聞」上で連載された。
大正10年に岩波書店から単行本(仮綴本)が出版され、勘助は『銀の匙』によって一躍注目を集める作家となったが、その後6年近くほとんど作品を発表せず、作家として沈黙を保った。そして、私生活の上では病兄や老母のいる小石川の実家には戻らず、各地を転遷し続ける隠遁生活を送ったが、大正10年に発表した『堤婆達多』を皮切りに、翌年に「犬」「沼のほとり」を発表して文芸活動を再開した。
大正15年4月の岩波書店からの初版発行に際しては著者自身が仔細に造本,装幀を指示した。勘助自身も「初出(東京朝日新聞)、仮綴本(大正10年版)」に比べて、回の区分、内容、表記上の推敲改訂ともに全文に及んでおり、削除個所も甚だ多い。(中略)この大正15年版の単行本「銀の匙」において基本的に成立した」」(岩波版全集「あとがき」より)

※平成15年に岩波書店「読者が選ぶ〈私の好きな岩波文庫100〉」において、本書は、夏目漱石の『こころ』、『坊っちゃん』に次いで、3位に選ばれています。
※神戸の灘中・高校で長く教壇に立った橋本武教諭は、教科書を用いず、中勘助の小説『銀の匙』一冊を中学の3年間かけて精読する授業で知られた。」(朝日新聞朝刊「天声人語」)

岩波書店・大正15年4月初版発行の中勘介「銀の匙」函付きです。経年の割にヤケは少なく、シミや書き込み、蔵書印などもありません。復刻版ではありません。
98年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。

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