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★★【古書・超貴重本】櫻川 俳人必見必読、幻の書

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故 五島慶太翁の み霊に ささぐ

写真4点目キャプション「桜川 共九冊の書貌」

序文
桜川発見の由来
旧久原文庫主事 鈴鹿三七
 大正八年七月、久原文庫が盛んに奇書珍籍を蒐集して居った頃、一日、京都の古書肆佐々木竹菊楼の主人が、桜川と題する写本九冊を見せに来た。当時を偲ばせるやうな粗末な表紙の本ではあったが、斐紙に美しく能筆で書かれてあって、さて表紙でも附けるとすると、当然見返は金銀泥の草花がかかれるとか、金銀砂子でも散布せられるとかいふ風の豪華本になるべきやうな極めてうぶな本である。内第一冊の表紙右肩には、「大阪住松山玖也自筆本」と書いてある。序文は「寛文十二年正月三日洛下季吟書」とあり、跋文には「千時延宝二寅甲五月仲旬松山玖也書焉」とある。句引一冊が添へられてあって、丹念に作者別で国分にして、四季の句題を示し、最後に、「春、弐千三百八拾句、夏千六百八拾九句、秋千六百弐拾四句、冬千三百四拾弐句、惣〆七千三拾六句、作者八百拾四人、」と記されてある。江戸の豪商鹿島雲煙家の縁肉の所蔵印が捺されてある事によって、先生坊間に出て折々目撃する鹿島家旧蔵本の数多の珍籍中の一である事を知った。内容を精査すると、句の肩書きに、寛文の年記が数多く記載せられてある。近世初期の俳諧の頻聚編輯の大著述で、俳諧史上頗る価値に富むものと直感した。実を申すと、吉沢義則先生も小生も俳諧は専攻で無かったから、松山玖也の名さえ知らない。そこで手許の新撰俳諧年表をひもとくと、延宝四年丙辰の条に、
  玖也歿、四月、松山氏、季吟及宋因門、磐城人、大阪住
と見えて居る。奥州磐城平城主内藤風虎、露沾父子は西山宗因の門下で有名な俳人であったことは小生も知っていた。さて序跋を精読すると、此の書は風虎の編輯せしめたもので、藩下の松山玖也の努力に成ったものであることが明瞭にになった。数日の後、斯道の権威である紫影藤井乙男先生を訪れて、本書を示したところ、先生も未見の珍書であるとて、其の出現を大いに悦ばれた。価格も案外安価であるので、購入に決めた。(抜粋)

■形態:A5版
■頁数:1005頁
■著者:大東急記念文庫
■出版社:大東急記念文庫
■発刊年:昭和三十五年十二月十六日 初版
■状態:函なし、天地小口ヤケ・汚れ 中面ヤケ・シミ 年代的には美品

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